労働法と介護事業
投稿日: 2014年1月5日,カテゴリー: ホームヘルパー
1月1日更新の36協定書を昨年末提出した。そこでの労基局の担当者からのお話とその後の社労士さんからのお話、いろいろあったのだが、就業時間の変更があった場合、始業時間の繰り上げ、繰り下げ、就業時間の繰り下げなど、、それぞれについて待機時間の時給保証、延長の場合は残業扱いなどが必要になってくるらしい。また、変形労働時間を使っている場合、基本的にシフトを組んだ時点での残業はあり得ないと、、、、そんなこと言ったって、利用者からは10時間依頼とか普通にあるし、ちょっと開始時間を変えてほしいなんてことはよくあるはなし。利用者の要望に応えようとすると、労基法違反かあるいはすれすれの状態になる。すべてを押さえようと思ったら、とうてい、どうやっても今の報酬単価では無理。そもそも、報酬単価の基本は、短時間労働のパート職員を基準にしているからこうなる。長時間の利用者にとっては1日のうちにころころ支援者が変わり、出入りが激しくなることは我慢しなさいって事。重度訪問介護の単価が低いのは長い時間1カ所にとどまるのだけら、移動などのコストがかからないでしょ。というのが厚労省の説明。でも、それは、1人の労働者に長時間労働させることが前提。休憩も必要。休憩については、労基の人は、休憩時間専門の交代要員をおいて、その人が何カ所かの利用者のところに順番に回ってメインで入ってる労働者の休憩時間を穴埋めしていけばいい。との見解。だったら、移動コストかかりますやん。ってそんな誰のとこでも次々に1時間ずつ穴埋めに入っていける支援者なんていない。あくまでも工場労働者をモデルに考えていることを介護にも当てはめようとしている。
さらに、報酬単価は短時間パートしか想定していないけど、一方でキャリアアップを求めてくる。短時間パートをたくさん配置してころころと人を変えて単純作業をこなすかのようにやらせようという元々の制度設計にキャリアパスはあり得ない。
大手の企業介護事業者では結局、6時間未満のサービスしかお受けしません。とかになってしまっている。それでは生活できない人たちはまーぶるのようなNPOとかの、零細事業所にくる。そして、労働者と事業所がリスクを負うことになる。
整合性が全くない労働行政と厚生行政の間で綱渡りが強いられる。何かあれば、法律違反 として罰則を受けるのは事業所であり、その「改善」が求められて、切り捨てざるを得なくなるのが利用者である。この業界で、こんなことをぶつぶつ言うのは好まれない。だって、そんなこと言ってたって目の前の生きづらい人たちは救われないから。もちろんそれにこだわって「だからしません」ではない。しかし、「いってもしかたがないから」と知らんふりしてみんながやっちゃうと法制度の改善は見込めない。おかしさをおかしいとしっかりわかった上で、それでも必要なことを身を挺してやっていかねばならない。そのためには、どこがどうなってるのかをしっかり、見て、理解することが必要。知らんふりしてやっちゃうのではなく、よく知った上でおかしさはおかしさとして認識した上でやっちゃうことが大切かなと思う。
うちも同じことで悩んでいます。登録ヘルパーはむしろ6時間以上の移動支援の仕事を好みます。まとまった賃金になるからです。重訪だって同じで6時間で帰ってこいというのは利用者だけではなく労働者も嫌がります。労働者も嫌がるルールをなんで守らなければならないのか。大手企業の工場ではないのですと私も労基局の担当者に粘り強く交渉しました。しかし労働基準法が完全な正義でもあるかのような態度は変わりませんでした。重訪に泊まりでも入っているヘルパーなんかは良い収入になるので率先してその仕事をしているのですが、そのヘルパーも結構な労働時間数になっています。それをあたかも事業所が「働かせてる」という考えでしか見てこない。もしうちが労働基準法を守ったならそのヘルパーは違う事業所から結局同じだけその利用者に入るだけなのに。同じ厚労省内なんだからそのへんの整合性を保ってほしいもんです。この国はダメだとまた思ってしまった。