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まーぶるコラム 第5回

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column05-illust03いつになったら涼しくなるのだろうかと思い続けた夏がやっと終わり、最近では朝晩は寒く感じるくらいの季節になってきましたね。
さて。今回はどんなお話にしようかと考えていましたが、9月15日は敬老の日でしたね。みなさんは、どんな敬老の日を過ごしましたか?
最近では、2世帯・3世帯が同居しているご家庭が少なくなってきている中で、おじいちゃん、おばあちゃんと過ごすということが少なくなっているのではないかと思います。

また、敬老の日にちなんだニュースの中に最高齢の方が京都府の方というような記事もあり、今回は障がいの分野を少し離れて、高齢者の福祉について触れていきたいと思います。

高齢者福祉の始まりは、はるか昔。聖徳太子が建てた「悲田院(ひでんいん)」というものが始まりだといわれています。この悲田院は身寄りのない老人や孤児を収容する施設として作られたもので、京都の東山にも建てられていたそうです。

一般的に知られている高齢者福祉の始まりは、1895(明治28)年以降に作られた「養老院(ようろういん)」。そして戦後、1963(昭和38)年に作られた「老人福祉法」あたりではないでしょうか。
この老人福祉法の制定によって、養老院は老人ホームへと名称が変更され、新たに特別養護老人ホームなどの施設が作られ、高齢者福祉を行う上で必要な体制が整えられていきました。

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ここまでは、ちょっとした豆知識。ここからが今回のテーマです。
最近「健康寿命」という言葉を耳にしました。この健康寿命とは、健康で活動的に暮らせる期間のことを言います。寿命が長くなったことや、医療の進歩などさまざまな理由で、何らかの介護や医療的な支援が必要となった状態でも、生きていくことができるようになりました。
ある人がこんなことを言っていました。「先日、病院に行ったら片足に血が回ってないらしい。来週には、手術するか決めなあかんわ。」と言われました。そのあとに、「私も、正常に年を取ったってことやな。まあ、歩けんようになったらなったでいいと思ってる」と、老いを受け入れ、余計な治療は望まないというような姿勢でお話してくださいました。

この話を聞いて、みなさんどんなことを思いますか?
「そんなの、実際そうなれば後悔するよ」とか「せっかく治す術があるのに」とかいろいろ思われるかもしれませんね。私は、この話を聞いて「かっこいい」と思いました。きっと、私なら治す術があるのだから、治したいと思っているでしょう。
でも、そう思わないというのは人生の充実感や満足感というところにつながっているのではないでしょうか。
昔は老衰していってお家で亡くなっていくというのが当たり前だったのですが、今ではお家で亡くなられる方は少数で8割程度は病院や施設などで亡くなられるということを聞きました。

一時期、日本の福祉は施設入所をどんどん進めていき、1か所に同じような状態の人を集めて支援を行うという方法を進めていました。しかし、今、福祉の領域では「地域移行」ということがさかんに言われています。今まで病院で入院していた人を退院させる。入所していた人を地域へ。という流れはあるものの、地域で生活するための基盤もサービスもまだまだ不足している状態です。
地域移行を進めているのに、家で亡くなられる人はほとんどいないなんて、相反するような内容のことを書いていますが、どういうことかというと。

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福祉というものは、とても経済が影響してくる領域です。国にお金がたくさんあるから、高齢者の医療無料化しましょう。入所できる建物どんどん作りましょう。となるのですが、国のお金が少なくなってくると、地域のつながりを強化して、見守り体勢を作っていこう。とか、地域でのサービスを充実させて、住み慣れた家で過ごしてもらおう。とか。一見、いいことのように思えますが、お金ないので地域で頑張ってくださいね。ということになってしまうのです。

そして、地域に出てきたのはいいが、サービスの量が足りておらず、状態が安定している時は家で対応できるが、症状が悪化していき、現在の支援と家族だけではどうにもできなくなり、入所。またかかりつけ医もおらず、家で最後を看取る環境が整っておらず、最後は入院。

そのために、地域移行の流れはあるものの、最後は入所・入院となり、自宅以外で亡くなられる割合が高いのではないでしょうか。
今回、高齢者というテーマにしてみて、健康な状態で、家で過ごせるというのは当たり前だけど、本当はとてもありがたいことなんだろうな。と感じています。

その当たり前のことが、年を重ねることによって。または、障がいがあることによって難しくなっていく。その、難しくなる原因はその人が年をとったからでもなく、障がいがあるからでもなく。さらには、家族が力不足なのでもなく。そういった地域でサポートできる体制や制度が不足しているからなんでしょう。

いつまでも健康で、住み慣れた家で、見慣れた人たちと幸せに生活していきたいものですね。

文責:大橋奈緒子