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まーぶるコラム 第4回

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さて。今回は、「就職」というテーマとなりました。皆さんは、「障害者雇用率制度」という言葉をご存知でしょうか?

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これは、一般労働者と同じ水準で、労働者となり得る機会を与えることとして、常用労働者に対する割合を設定して、事業主に障がい者雇用率達成義務を課すことによって、保障するもの。とされています。
この背景には、障がい者は特別な人ではなく、普通の一市民であるが、特別な困難がある人。という認識のもと、共生社会を目指して行く中でできてきたことだそうです。

この、障害者雇用率制度が来年度から引き上げられるそうです。現在の法定雇用率は民間企業で1.8パーセント。これが、平成25年4月より2.0パーセントになります。また、障がい者を雇用しなければならない事業主の範囲が従業員56人以上から50人以上へと変更されます。

少し古いデータですが、平成22年の時点での実雇用率は1.68パーセント。法定雇用率達成企業の割合は47.0パーセントとなっています。また、大企業では1.90パーセントの障がい者雇用率で、達成企業の割合も55.6パーセントとなっているようです。

小さな企業では、1.7パーセントを超える時期があったものの、現在は低迷しており1.42パーセントの実雇用率。達成企業の割合も44.5パーセントとなっているようです。

今後、障害者雇用率の引き上げによってさまざまな変化が訪れることになるのだろうと思います。

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また、障害者雇用促進制度における障がい者の範囲も今回、拡大されることになりました。最初は、身体障がい者を対象としてとられた措置でしたが、昭和62年及び平成4年の改正では知的障がい者及び重度障がい者であったのが、平成18年には精神障がい者も入り、さらに今回、手帳を保持していない発達障がいや、難治性疾患も対象に含まれるようにすべきではないかというような見解が出されているようですね。

さて。この決定がなされるまでに、もちろんさまざまな検討会などが開催されました。そして、その中で就労の困難度の高い重度障害者の雇用促進についても話し合いがもたれていました。

そこで問題視されていたのは「ダブルカウント」という制度。本来、私たちが就職した場合、新卒でも1人。2人分くらい仕事をしてしまえるような有能な人でも1人。
このダブルカウントという制度は、重度の身体障がい者若しくは重度の知的障害者を雇用すれば、それ以外の障がい者を2人分の雇用率として算定できるという仕組みなんです。

重度の人を1人雇うよりも、軽度の人を2人雇う方がいいと考える人も多く、障がい者の雇用自体が少ない上に、重度の障がい者はより一層仕事をすることができないという状況になってしまっているのです。

今回の改正でも、雇用率は引き上げられたものの、ダブルカウント制度は残ったままとなっています。障がい者雇用に対する助成金もいくつかありますが、助成金となるとやはり、基準は厳しくなってきます。

今回、障がい者の雇用という面でのお話をしてきました。最後に、みなさんに考えていただきたいことがあります。

あなたは、いくつ「立場」をもっていますか?
私は、ざっと思いつくのでこんな感じでしょうか。家族から見た「私」。学校での「私」。まーぶるでの「私」。その他プライベートでの「私」。

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この「立場」があるということが、実はとても大切なことなのです。その「立場」には、必ずそれを取り巻く「人」、その人との「関係」、そして、その関係を取り巻く「社会」というものがあります。

その大きな社会の中で、自分の立ち位置があり、そこでの自分の役割が見出せる。ということで、それが生きがいややりがいにつながっていきます。
みなさんも、「初めて買い物をお願いされて、うまくいった日」や「初めて大きな仕事を任されてうまく契約できた日」を覚えていませんか?その時の感覚を覚えていませんか?それは、大きな励みになりませんでしたか?

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彼ら・彼女らの中には、さまざまな能力を持っている人がたくさんおられます。「○○では、彼には勝てない」「彼女はすごくいい○○をもってる」というところは、関わっていく中でいろいろ発見できます。
その人の特性を見極めて、その特性に合った職業に就けば、もしかしたら障がいのある方のほうが格段に仕事をできるかもしれない。そういった可能性を秘めておられます。

また、役割ができることで、彼ら・彼女らの能力はさらにアップするかもしれない。まだまだ、障がい者の雇用についてはさまざまな手法によって研究されていっている段階です。

でも、社会に出ることによって、障がい者・健常者共に可能性を見出すことができるのではないかと考えています。
障がいのある方から学べること、教えてもらえることは実はたくさんあります。同じ社会の一員として、共に協力し合っって、共に支えあって社会生活を送っていきたいものですね。

文責:大橋奈緒子