まーぶるコラム 第9回
少しずつ心地よい…というよりは、いきなり冷たーい風が吹くようになり、なかなか体がついていかない季節になってきました。
さて。秋といえば…みなさん、何を想像するでしょうか。読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋など、さまざまな言葉がありますが、私はやっぱり食欲の秋。
食事は、私たちが生きていく中で欠かすことのできないものです。そこで、今日は「食事」ということをテーマにお話していきたいと思います。
まず。ご飯を食べる時、「おいしそうだな」または「おいしいな」と感じる時は、どんな時ですか?
朝起きて、おいしそうなお味噌汁の「におい」がした時。お弁当箱を開けて「色鮮やか」なおかずを見た時。一口食べて「とろける」ような食感の時。(味覚)
人は、ご飯を食べる時、鼻でにおいを感じたり、目で色合いを感じたり、下で感触を楽しんだり、味わったり。さまざまな器官のさまざまな機能を使って、そのご飯がどういったものなのか、そして、自分の好みかどうかなどを判断しています。
しかし、地域で生活している人の中には、噛むことが難しかったり、飲みこむことが難しかったり、飲みこめてもすぐにせき込んでしまうという人も中にはおられます。そういった方々の食事がどういったものかご存じですか?
食事を細かく刻んだり、やわらかく煮て、食べてもらったり。また、ミキサーにかけて形を崩してからとろみをつけて食べてもらったりしています。
最近では「高齢者向け配食サービス」なるものが、社会福祉協議会や配食専門の業者などで行われており、高齢者だけでなく、ダイエット中の人も対象に入れたローカロリーなお弁当や、高血圧の人に対応した塩分控えめのお弁当、噛むことが難しくなってきた人向けに素材をやわらかく煮込んだお弁当など、バラエティも豊富になっています。
また、以前はミキサーなどで細かく刻み、原型が分からないものを出していたのが今では、ムース食というものがあるらしく、魚の形をしたものを見たことがありますが、見た目に「魚料理」ということがわかり、なんとなくかわいらしいもので、食べるのが楽しくなりそうでした。
今でも、ご自宅で手作りされているご家族もおられますが、やわらかく煮込んだ後にミキサーにかけ、とろみをつけて…。と、とても手間も時間もかかるものです。
また、今ではとろみも料理の味を変える事が少ないようなものが多く出ていますが、以前は食事の味が変わってしまって食欲がなくなってしまうようなものもありました。
食事をするという行為は、さまざまな器官を刺激されておいしさを感じることができるし、そういった刺激が生活の中でハリを持たせてくれたり、楽しみになります。
細かく刻んでしまい、視覚的なおいしさを逃していたり、とろみをつけることで料理の味が変わってしまったり、素材本来の食感を楽しめなかったり。
それで、食べることが億劫になっては非常に残念な話ですよね。人が毎日、そして一生行う生活の行為だからこそ、よりよいものになればいいですね。
私達が、日頃何気なくしている行為だからこそ、その楽しみや嬉しさに気づくことは難しいのですが、そういう「当たり前」のことだからこそ、大事にしていきたいものですね。
しかし、地域には口から食べることが難しい人もおられますが…それはまた改めて。
文責:大橋奈緒子